甘い恋の始まりに【堂上ver.】


 「転院したら、もう少しまめに顔見せろ」と言った効果が影響したようで二度目の郁の訪問は堂上が思っていたよりも早かった。
 失礼します、とドアを開けて入ってくる郁は恥ずかしそうに俯いている。
「おう」
と言って読んでいた本をパタリと閉じた。郁に自分のベット脇にある椅子に座るよう促す。郁は素直にすとんと椅子に腰掛けた。
 堂上が郁を見つめていると郁がふと顔を上げた。目が合って微笑むと少し赤くなって郁は俯いた。
「郁?」
 呼びかけてみるが返事だけで顔は上げてくれない。その様子を見て郁をこちらに引き寄せる。すると一瞬硬くなったがその強張りはすぐにとれた。
 郁の表情を見たくて両手で頬を包み込むように挟み自分の方へ向かせる。頬をピンク色に染めた郁と目があった。
 こいつ、可愛すぎる。
 ああ、今自分の顔が緩みきってるな、と自覚した。今、小牧やタスクフォースのメンバーに顔を見られたら確実に酒のさかなにされるなと思った。
 やっと、手に入れたのだ。やっとこちらを見てくれるようになったのだ。これが喜ばずにいられるわけがない。なりふりなんか構っていられるか。抱きしめたい、キスしたい、触れたい。
 こいつが恋愛面に関して初心者だということは分かっている。人のことには鋭いくせに自分のこととなると本当に鈍くて。だからこれからは自分の理性がどこまで保つかが問題だ。
 それでもやはり目の前の郁は可愛くて。自分から逃れようとする郁を離さない。離してなんかやらない。
 恥ずかしいから離して欲しい、と目が少し潤む郁もやはり可愛くて。これはやばい。
 ずっと我慢してきたのだ。それに加えて今は入院中でずっと一緒にいられるわけではない。これくらいの我儘わがままは許されるだろう。
「いやだ」
 即答してさらに続ける。
「可愛いからもっとよく見せろ」と。
 その瞬間郁が真っ赤になった。その様子にふっと笑みが漏れる。そこでキスを一つ郁に落とした。

 郁が帰った後、あとどれくらい理性が保つだろうかと堂上は本気で考えるのだった。


fin.








           甘い恋の始まりに、堂上ver.です。
           郁ver.とついになるような感じで書きました。郁ver.とともに原作との矛盾点多くてすいません;;どうかスルーしてやってください。(涙
           ベタ甘大好きですいませーん。><;どこまでなら甘くても許されますでしょうか。(ドキドキ;;
           「二人きりのときはもっと甘い」堂上wだあって、やっと想いが通じたんですもの!(堂上にしてみれば
           もう顔が緩みきっちゃってしょうがないんだと思います。
           良かったね―、堂上教官!(笑

           こんなの堂上じゃない!っと思った方すいません;;精進します;;

           2008.05.19