笑顔


「ありがとうございます!」
 堂上と共に店を出た郁は買ってもらったばかりの新品のデジタルカメラを嬉しそうに見つめた。
「でも、これ高かったんじゃないですか?」
 郁が思って遠慮がちに尋ねると
「クリスマス分と詫びの分入れてもこんなの安いもんだ」
堂上は郁の頭の上にポンと優しく手を置いた。
「でもなんで私がデジカメ欲しいって分かったんですか?」
 郁が不思議そうに尋ねると堂上は郁から手を離し
「あ〜まぁ、な」
などと適当に言葉を濁した。言いたくないのかな?と思って郁はそれ以上問い詰めるのをやめた。
「あ、堂上教官、せっかくだから写真撮りましょう」
 郁はカメラを構えた。
「俺を撮るのか?」
堂上は苦笑いを浮かべている。はい、郁はそう言うと堂上から少し距離を取り「じゃあ撮りますよ〜」と言ってシャッターを切った。撮った写真を一緒に見る。そこには強ばった顔で写っている堂上がいた。
「堂上教官、写真なんだから笑ってくださいよー」
 郁の要求に
「緊張するんだよ…」
と言って堂上は顔を郁から背けた。なんか、こういう教官ってかわいい、とか考えてくすっと笑うと堂上は面白くなさそうな顔をした。
「じゃあ今度は俺がお前を撮るぞ」
と言って郁からカメラを取り上げる。
「え?あ、はい」
 カメラを構える堂上を郁は焦って髪の毛を整えながら見る。カメラ越しにこちらを見つめる堂上の視線に気恥ずかしさや嬉しさが込み上げ郁の顔に思わす笑みが浮かんだ。照れくさそうに、でもすごく幸せそうに嬉しそうに笑う郁を見て堂上が構えていたカメラをおろした。
「堂上教官?どうしたんですか?」
 不審に思って郁が声をかけると堂上からぶっきらぼうな返事が返ってきた。
「お前、他のヤツの前でそういう顔、絶対するなよ」
 郁には訳が分からずキョトンとする。
「え?なんでですか?」
「いーから」
 問いかけてもそれしか答えない。え?もしかして私、そんな変な顔してた?恥ずかしさで郁は困惑する。思わず堂上から目を反らす。そんな変な顔、堂上教官にだって見られたくないのに…。
 郁が少し涙目になると堂上が郁の考えていることを察したようで慌てて違う!、と言った。郁がえ?と堂上のほうに向き直ると
「あんまり可愛い顔してるから、そんな顔絶対他の連中には見せたくない」
と言って仏頂面でそっぽを向いた。予期していなかった堂上の言葉に郁の顔は真っ赤になった。どんどん熱を持っていくのが自分でもよく分かる。思わず目を伏せる。
 ふと堂上のほうへ目をやると堂上がある方向へ目を向けたまま自分と同じようにみるみる顔が赤くなっていく様子が見えた。気になり堂上の視線の先を追いかけると、そこには郁たちから目をわざとらしく背けてそそくさと去っていく通行人達がいた。今の今まですっかり忘れていたが、そうだ、ここは店の前だった。きっと付き合いたての初々しいバカップルのラブトークにあてられてさぞここを通るのが気まずかったに違いない。
 そのことにやっと気づいた郁は先ほどにもましてますます顔を赤らめるのだった。


fin.








            甘いの好きですよー!!誰か私に甘いのちょうだーい!!!(どこかで聞いたことあるような)
            えっと初売りデートでの出来事です。私の中で妄想w別冊のさらに補足ですよーっw
            バカップル万歳!!
            というか、なんで私が書くとこんなにつまらない文章になっちゃうんだろう…はぁ。。。

                         2008.04.22