「なんじゃこらあああぁぁぁあああ!!」
凄まじい叫び声に顔のパックをひたすら熱心にしていた柴崎は思わずぎょっとした。
「ちょっと、笠原うるさい!今の男子寮まで聞こえてたわよ!」
「そんなわけあるか!」
「なにー?」
叫んで固まったままの郁に近づいていくとそこにはなにやら写真らしきものがあった。どうやらそれらはフォトフレームに入っているらしい。柴崎が見た限り、明らかにお見合い写真だ。
郁は手紙らしきものを開いたまま動かない。柴崎はその手紙を上から覗き込んだ。
「仕事も軌道に乗ってきたようだし、あなたはちゃんと結婚について考えていますか?」
どうやら郁の両親かららしい。柴崎は今回一番郁の母親が重点を置いて出してきたらしい手紙の、ポイントの一文を音読した。
「お母さんがあなたの結婚相手に相応しいなと思った方の写真を何枚か送ります。見当してみてください、だってよ」
「冗っ談じゃないわよ!お見合いっていつの時代の話だ!」
郁は憤慨して手にしていた手紙を放った。
郁の前に包装から取り出したまま手つかず状態で置かれている写真を柴崎は許可無く手に取った。
開いて中身を見てみる。
「ふぅ〜ん。あ、笠原、これなんかいいんじゃない?ほら、結構整った顔立ちしてるじゃない?」
柴崎はお見合い写真を開くと好き勝手に評価し始めた。
「柴崎、ちょっと!」
郁が取り返そうと手を伸ばすのをするりとかわす。そのまま二枚目のフォトフレームを開いた。
「うぅ〜ん。これはどうかしらねぇ…」
眉間に皺を寄せ真剣に評価を下す柴崎にとうとう郁は根負けした。
「お見合いは別として、結婚とかさぁ、あたしたちまだ24だよね?早くない?」
「まぁねぇ…。でもほらほっといたらあんたがいつ結婚できるか心配なんじゃないの?あのお母様だし?」
「えー」
「ま、この山猿だしねぇ…」
「ちょっと!山猿ってなによ!じゃああんたのほうはどうなんだ!」
「なーに言ってるのよ、あんた。あたしが結婚できないとでも思ってるわけ?その気になればあたしはいつでも結婚できるのよ」
「またそうぬけぬけと…。でもあながちうそ言ってないとこがふてぶてしいー」
郁は言ってそばにあった等身大の可愛らしいウサギのクッションをたぐり寄せ胸に抱えた。
「あ、あんたそれ潰さないでよねー。あんたが本気出したら綿出ちゃうから」
「んなわけあるか!」
郁は抱えていたクッションを狙いを定めて柴崎に投げつけると、柴崎はキャーとわざとらしく可愛らしい声を上げさっとよけた。
にしても、面白いネタよねぇこれは。柴崎は手に持った写真に目を向けると郁に気づかれないようににやりと笑った。
to be continued…
すみません、思いの外長くなってしまったので前編です。
久々の柴郁!最近柴郁書いてますw
文中に出てくるウサギのクッションはLaLa版図書館戦争に出てきたものと同じもののつもりです。
ふとした疑問なのですが、あのクッションって微笑みウサギシリーズなんですかね?wどうなんだろw
郁ちゃんのお母さんだったらお見合い写真くらい送ってくるかなぁとまたしても無理矢理な設定で書いてしまいましたwすみません><;
柴崎の「その気になればいつでも結婚できる」っていうのはちょっと違うけれど、柴崎ならここでそれくらいの軽口は言えるかなーと書いてみちゃいました><
久々の柴郁、書いてて楽しかったです!^^*
2008.11.14