「はーい!ではこれをどうぞ!」
柴崎が持ってきた郁のコップにはなんとも表現しがたい色をした液体が入っていた。強いて言うならば灰色であろうか。いったいどうしたらこんな色の液体ができるのか。どうやら罰ゲームというのはこの液体(もはやジュースとは言えない)を飲むことらしい。
郁は中身のものに引きながらある疑問が頭の中に浮かんだ。
「あれ?堂上教官の分は?」
「それが二人分よ。感謝しなさいよー。二人だからって手加減してあげたんだから」
柴崎はコップと一緒に持ってきたストローを2本さした。
ちょっと待て!それはいったいなんの羞恥プレーだ!
「交互に少しずつ飲めば飲みきるでしょ」
ストローが2本あるのと二人同時に飲むという条件がないのがせめてもの救いだ。それでもこの罰ゲームはありえないだろ!郁が心の中で叫んでいると「負けたんだから約束はきちんと守ってよね」と柴崎はにやにやしている。
郁は「上等よ!」ほとんど反射で噛みつくように答えると堂上をチラリと見た。堂上の眉間に深く皺が寄っている。
内心怯えつつ「教官、私が全部飲みます」と申し出た。
すると「チーム戦だろ。罰ゲームはチームで受けるのが道理だろ」と堂上に諭された。
「いや、でも…」
「足を引っ張っていたのは俺のほうだからな」
堂上は言いつつ腕を組んだ。
「いえ、すみません。私が力不足で」
言うと堂上は苦笑し、「ほら、かせ」と郁の持つコップに手を伸ばした。
「じゃ、じゃあ私が三分の二飲みますから教官は三分の一飲んでください!上官に飲ませること事態失礼だし…」
郁が遠慮がちに提案すると
「アホゥ!こんなとこで上官も何も関係ないだろ!」
堂上は郁の持つコップをすばやく奪い取った。ストローを使わずにガブガブとのみこんでいく。郁は当然半分ずつ飲むと思っていたので堂上が半分ほど飲み干したところで声をかけた。だが堂上は郁の呼びかけを無視すると最後まで飲み干した。
郁が抗議の声を上げようとしたところで堂上はタンと勢いよくテーブルの上にコップを置いた。そのままゴホゴホとむせている。
「教官!私の…」
「おまっ、このじゃりじゃりしたものはなんだっ!!」
郁の言葉を遮って堂上から飛び出した言葉は想定外のものであった。思わず郁は首を傾げる。
「じゃりじゃり…?」
「あっ、それ砂糖。俺が入れたんだけど、どう?おいしかった?」
そこで小牧がにっこりと笑顔を作った。
「砂かと思ったわ!」
堂上が怒鳴りそばに置いてあった水をがぶりと飲んだ。そこで小牧は吹き出した。手塚は居た堪れないように申し訳ない顔をしている。おそらく柴崎に無理矢理参加させられたのだろう。
そして、それからのフリータイムは壮絶であった。燃えた堂上がチーム対抗戦を同じチームでリベンジと言い出したのだ。郁と堂上はそれから勝つまで柴崎率いる小牧、手塚チームの様々な罰ゲームに耐えつつけることとなった。
fin.
おまけ
「教官、意外と負けず嫌いですね」
「悪かったな」
「いえ、私も負けず嫌いは自覚してますから。でももう、柴崎の罰ゲームは二度と受けたくないですね」
「…そうだな」
一応完結です!
この罰ゲームは私の体験談だったりします。^^;
砂糖がほんとに砂みたいでした…;;じゃりじゃりして気持ちが悪かった!
味はめちゃめちゃまずかった!ほんとにはき出したいくらいでした。
さて柴崎チームからのひどい罰ゲームはいったい何だったんでしょうね(笑
2008.09.22