カミツレ図書館

     勝負!勝つのはどっち!?【前編】



「さあ、歌うわよー!」
 なんでこんな状況になってるのよ!
 狭い個室に大の大人が5人。店員も大きめな部屋を用意してくれたのだろうが、正直言って少しきつい。当たり前だ。


 その5人の内の3人は男、なのだから。



 堂上班+柴崎でなぜかカラオケに来ていた。こんな状況が出来上がってしまうのは明らかに不自然なわけで、郁はこの状況を飲み込めずにいた。言い出したのはもちろん柴崎で。最初は郁と柴崎の二人でカラオケに来る予定だったのだが、二人よりも大勢のほうが盛り上がるという理由だけで柴崎が堂上班男子メンバーを誘ったのだった。
「おい、ちょっと待て!そこの盛り上がってる女子一人!」
 手塚が堪えきれずに声を上げた。
「なによー」
 柴崎がうるさそうに言う。
「なんでお前らに俺や上官達が付き合わされなくちゃいけないんだ?」
 手塚の意見はもっともだった。あ〜なんかこのメンバーでカラオケ来てるのも変よね、などと郁は心の中で思う。というかなんだか不釣り合いな気もする。
「いいじゃない、べつにぃ〜」
「まぁ、カラオケって大勢のほうが盛り上がるしね」
 小牧が二人の会話に宥めるように割って入った。
「あ、さすが小牧教官、分かってるぅ〜」
 柴崎はノリノリだ。
 結局、時間も限られているということで柴崎から時計回りに手塚→小牧→堂上→郁という順番で歌うことになった。
 のっけからテンションが高いのは柴崎だけだ。やる気のないメンバーを見た柴崎は閃いたように手を叩いた。
「じゃあ、負けたら罰ゲームっていう対抗戦で歌いません?そのほうがやる気もでるし」
 郁ただ一人が嫌そうな顔をしたのを柴崎以外誰も見逃さなかった。
「それはちょっと待った!」
 思わず郁が声をあげる。
「柴崎の罰ゲームは半端ないから絶対やだ!」
「それは言えてるかもしれないな」
 郁のその言葉に腕組みをしてむっつりと押し黙っていた堂上がここに来て初めて声を上げた。それを聞いて少しほっとする。堂上の言うことなら柴崎もあきらめてくれるかもしれないと思ったからだ。だが事態は変わらなかった。逆にこっちが煽られる。
「ふ〜ん、笠原勝つ自信ないんだぁ〜」
 にやりと柴崎が笑った。人の神経を逆撫でするのが実にうまい。案の定郁はそれに引っかかった。
「そんなわけないでしょ!」
 テーブルを叩いて立ち上がる郁の抗議に堂上がおい!と声をかけるが郁にその声はもはや届いていない。
「じゃあ決まりね!笠原は堂上教官とチームね!」
 いーわよ、と言う郁に今度は堂上が抗議の声を上げる。
「おい、待て待て!俺がこいつと組むのか?」
 そーですよー、とにっこり笑って楽しそうに言う柴崎は「私は小牧教官と手塚とチームになりますから〜」と言って小牧と手塚の間に割って入った。
「それはこっちが不利だろう?ただでさえ笠原がいるっていうのに…」
 堂上の言葉に郁が食ってかかった。
「ちょっと、どういう意味ですか!?それ!」
「どういう意味も何もそのままの意味だ」
「自慢じゃないですけど、私高校生の頃から歌うまいって有名なんですよ!」
 堂上が疑いの眼差しを向けてきたと思ったら手塚までもが疑いの眼差しを郁に向けていた。
 なんだ、その目は!私が歌うまかったら可笑しいのか!
 自分で歌がうまいと主張しているあたりに怪しさが増しているのかもしれないが。
「笠原結構うまいですよ〜だからこれくらいのハンデはもらっておかないと」
 柴崎から珍しくフォローが入ったことで郁は胸を張った。柴崎がこんなふうに、ましてやなにか褒めることに関して、郁のフォローをしてくれることはなかなかない。ここは胸を張ってもいいところだと思った。堂上と手塚はまだ疑いの眼差しをこちらに向けていたが郁はそれを無視した。
 柴崎はもうカラオケの機械を弄り始めている。柴崎がそうしていたのはほんの少しの間ですぐに曲のイントロが流れ始めた。



 to be continued…








           またしてもむちゃな設定ですいません。
           何も期待できる展開にはならないと思います。すみません;;
           いろいろつっこみどころ満載ですが目を瞑ってくださったら嬉しいです(ォィ;
           郁が歌上手いということを捏造しててすみません;;
           それから場面結構飛ぶので読みづらいかもです。なんかさんざんなものですみません;;
           とりあえず、また続き物です。

           2008.09.06