カミツレ図書館

     肝試しパニックE



 その日、訓練が終わった後郁は隊員達になにやら好奇な視線を向けられていることに気が付いた。なんだろう、私何かしたっけ?不審に思いながら事務室に戻ると郁は思いもしなかったその光景に固まった。
 事務室にはなにやら巨大なテレビが運び込まれておりその画面には昨夜の郁と堂上の肝試しの光景が映し出されていた。ちょうど郁が堂上に抱きついているシーンだ。
「ななななんでー!?」
 郁がそう叫んだところで堂上が事務室に入ってきた。
「なに入り口に突っ立ってんだ?」
 堂上が言いつつ郁を避けて奥に入ろうとしたところで目を瞠った。
「笠原は大胆だなー」
 玄田が愉快そうにがっはっはと笑い、堂上に明らかにからかいの視線を向けた。
「なんですかコレは!」
 堂上がテレビを消そうと向かおうとした刹那隊員が堂上を押さえつけた。堂上よりもがたいのいい大の男三人にがっちりと押さえつけられ身動きがとれなくなる。
「笠原!」
 声をかけられた郁ははっと我に返りテレビに向かおうとしたが同じように押さえつけられた。
「笠原にも一応は女らしい面があったんだなー」
 隊員達と玄田が笑い声を上げる。
「堂上、役得だな〜」
 玄田の視線を逃れ堂上が小牧に目を走らせるが、あきらめろと言わんばかりの投げやりの姿勢だ。ついでに手塚にも目を向けるが哀れむような視線と合い、そのまま手塚に目を反らされた。
 郁もなぜかタスクフォースの事務室にいる柴崎に目を向けるが、そのとき昨日の柴崎の含み笑いを思い出した。確信犯だと分かりあのとき気が付かなかった自分を悔いる。
 郁と堂上はそのままその肝試しのビデオが終わるまで押さえつけられたままであった。
 その光景をタスクフォースの隊員に見られただけでなく自分のその行動の恥ずかしさに郁はただただ赤面するばかりだった。

おまけ
 面白いから図書館で一般上映しようと言い出した玄田を必死に堂上が説得したというのはまた別の話である。



fin.








           肝試し!これにて完結でございます。
           裏方で企む方々がいてこの肝試しは成り立っています(笑
            少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです。
           ずいぶんたらたらと続けてすいませんでした。
           ここまでお付き合いくださったみなさん、ありがとうございました!

           2008.08.10