肝試しパニックC



 郁と堂上の番は三番目だった。道中には脅かし役の他の隊員が待ち構えている。
 コースは野外訓練場から出発し、寮の周りを一周してまた野外訓練場まで戻ってくることになっている。意外と広範囲なのは隊員が多いという理由からであろう。そして今回はタスクフォース隊員が使うために寮の周りを使うということを事前に知らせておいた。準備万端といったところだ。
 番になり堂上が「行くぞ」と言って先頭を切った。郁はまだ行きたくないと駄々をこねていたが柴崎に背中を押されて渋々堂上の後に付いていった。
 二人を見送った後柴崎はにやりと笑うと小牧と手塚の腕をそれぞれ引っ張った。
「なに?」
と小牧が振り返る。柴崎はこっちこっちと二人をある場所に引っ張って誘導した。
「そっちに何かあるのか?」
 手塚は柴崎に問いかけてみるが柴崎は無視してそのまま会議室まで連れ込んだ。中にはテレビが用意されている。そのまま二人の腕を放すと柴崎はテレビの電源を入れた。
「何やってるんだ?」
 聞いてくる手塚をさらに無視して音量をあげる。
「あれ?これって」
 小牧が気づいたように声を上げた。
「隠しカメラセットしたんです」
 柴崎は表現しがたい不気味な笑みを浮かべた。その笑みのあまりの不気味さに手塚は柴崎から半歩後ずさった。
「隠しカメラ?」
 小牧の問いかけにはい、と柴崎は頷く。
「いったいなんのために…」
 手塚の独り言のような問いかけに返事もせず柴崎は壁に立てかけてあった業務用の椅子を引っ張り出した。柴崎一人では重いと思ったのか小牧がそれを手伝う。
「んじゃ、座ってゆっくり見ましょう」
 柴崎はそそくさとテレビの前に並べた三つのパイプ椅子のうち真ん中の椅子に腰掛けた。小牧は状況を理解し始めているようで柴崎の右隣に座った。手塚には何が何だかさっぱり分からない。
「ほら手塚も!」
 促されてようやく残っている椅子に座った。
「なんなんだ、いったい…」
 手塚が呟くと「しっ」と柴崎が自分の唇に人差し指を添えて顔をしかめた。
 こういう顔をしてもやはり美人である。さきほど堂上と郁を見送った後柴崎も肝試しに誘われていたことを手塚は思い出した。堂上班は柴崎の本性を知っているが他の隊員は知らない。一緒にペアを組んで肝試しをしないか、と誘う多くの隊員たちを華麗にかわすのは柴崎にしかできないだろう。
 黙ってればただの美人で済むんだろうに。手塚はしみじみ思いながら黙り込んだ。

 そのような状態が十分ほど続きさすがに手塚の我慢が限界になってきた頃、テレビから人の話し声のようなものが夜の虫の鳴き声に混ざって聞こえてきた。柴崎は「きたきた」と呟いた。その声はだんだんと大きくなってきて手塚はその声の主がだれなのかようやく気が付いた。
『堂上教官〜そんなに早足で行かないでくださいぃ〜』
『さっさと歩け。早く終わらせればすむ話だ』
 堂上と郁だ。
 すると柴崎が携帯を取り出しすばやくボタンをプッシュしどこかに連絡を取り始めた。
「お願いします」と一方的に告げて電話を切る。手塚が不審な顔で柴崎を見た瞬間凄まじい叫び声が聞こえた。



to be continued…








           肝試し!久々の更新ですいません。><;
           なんかちょうど季節ぴったりのお話になってるなーw
           いろいろ矛盾とか違うだろ!とかつっこみどころ満載だとは思いますがどうぞその辺は脳内補完でお願いします;;(ォィ
           そしてまだ続きます。すいません。ほんとちまちま切って申し訳ないです。そして読みづらくてすみません;;
           とりあえず堂郁編は次回です。
               
           2008.07.14