プリプリと怒りを露にした郁と努めて冷静な様子の手塚が事務室に戻ってきたのはちょうど事務室の中で休憩の雰囲気が漂っていたときであった。
郁のただ事でない様子に堂上と小牧は目配せした。
「どうしたの?笠原さん」
手塚が小牧のところにちょうどやって来たので小牧が少し声の大きさを押さえて訊いた。
「なんか母親絡みみたいです」
手塚が肩を竦めて応えた。郁はムッツリと不機嫌な顔のままだ。小牧と目が合った瞬間熱り立った。
「小牧教官!聞いてくださいよ!」
言いつつ小牧の元につかつかと歩み寄る。
「何?どうしたの?」
小牧は郁を気遣う声になった。
「うちの母親がさっき、顔に傷でもできたら嫁のもらい手いなくなるって、遠回しに図書隊をやめるように言ってくるんですよ!」
信じらんないっ!と言って未だ怒りが収まらないようだ。
「べつに嫁なんか行かないっつの!」
勢いづいて郁は思い切り口を滑らせた。実際そんなことは思ってもいなかったが勢いに任せて息巻いてしまった。
「顔に傷ついたからって結婚できないわけでもないよねー。たとえ傷ができても笠原さんをお嫁さんにしたい男はいると思うし。ねえ、堂上?」
小牧がにっこり笑って意味深長な言葉を堂上に投げかけた。
「なんで俺に話を振るんだ?」
二人のやりとりを傍観していた堂上は不機嫌な顔になると腕を組んだ。
「いや?べつにぃ。一般論として俺は堂上に同意を求めただけだけど?」
小牧はしれっと言ってのけると
「ねえ、手塚?」
と手塚にも同意を求める。
「ええ、まあ。まぁ、そこまで物好きな男がいるかどうか甚だ疑問ですが」
「どーいう意味よ!」
郁が憤慨して抗議するのと小牧が上戸に入るのはほとんど同時であった。
「も、物好きって……」
と小牧が盛大に吹き出す。小牧は手塚を尻目に堂上に目を向けた。
「そっ…そんなことはっ…ないと思うよ、手塚。ねえ、堂上?」
小牧が笑いの切れ切れにそう応えると
「俺に訊くな!」
と堂上は怒鳴った。
もっとも小牧と堂上のそのやり取りは先ほどの手塚の発言をきっかけに諍い出した二人にはすでに聞こえていなかった。
fin.
ごめんなさい;;いつも以上に原作との矛盾があると思います。
矛盾があっても書きたかったんです;;許して下さい。><;
遠回しに小牧の言いたいことを察してくださると嬉しいですw
ちなみにこれ実を言うとそうとう前に書いたものだったりします;;
up遅れてすいません;;
2008.08.25