カミツレ図書館

      common knowledge




  今日の堂上班は私服で図書館内の警備ということになっていた。

 昼の食堂にちょうど堂上班全員が集まっており(もちろんその中には柴崎が混じっていた)向かう場所は同じなので堂上班+柴崎で揃って図書館の方へ向かうことになった。
 堂上と小牧の後に続いて手塚、郁、柴崎が図書館内の閲覧室に入ろうとした時である。
 わぁわぁとこちらに向かって通路を走ってきていた子供がつまずいて転んだ。
 図書館内では走らないようにと注意をしようとした郁にその光景が飛び込んできた。
 小学生に上がったか上がらないかくらいの幼い男の子だ。派手に転んでしまったため膝を少しすりむいているらしい。
 その場にいた全員が立ち止まったが郁がすぐにその男の子のもとに駆け寄った。
 泣くのを我慢しているようで目に溜まった涙を落とさないよう必死に耐えていた。
 郁は転んで前屈みになったままの男の子の脇の下を抱えるとひょいっと持ち上げ立たせた。
 郁はしゃがんだまま、男の子のズボンについた汚れを払い笑顔を作った。
「よし!よく泣くの我慢したね。えらいぞ!」
 言いながら男の子の頭を優しくなでる。男の子は郁のその笑顔に安心したようで溜まっていた涙がすぐに引っ込んだ。
「そんな良い子にはお姉さんからプレゼント!」
 郁は言ってポケットからあめ玉を取り出した。男の子の手を取るとそのあめを手のひらにのせた。
「ケガするといけないから、今度から図書館では走らないようにね」
 男の子は小さく頷くと郁に笑って見せた。郁はもう一度男の子の頭を撫でると「よし!医務室で消毒してもらおっか」と言って男の子の手を引き立ち上がった。

「堂上、顔にやけてるよ」
 閲覧室に先に足を踏み入れていた小牧がその光景を一緒に見ていた堂上にそう言うと堂上は眉間に皺を寄せた。
「別ににやけてなんかない!」
「はーい、図書館内では静かにね〜」
 わざとらしく言う小牧を堂上は睨み付けた。その様子に小牧は上戸に入りそうになる。
「奥のほうを見てくる」
 堂上はこれ以上小牧から何か言われる前に、逃げるようにその場を立ち去った。

 相変わらず分かりやすいなー、堂上は。
 そんな堂上をからかってしまう自分はきっとものすごく意地が悪いに違いない。だがやめられない。これは小牧にとって余興みたいなものだ。くつくつと笑いを漏らしながらいると男の子を連れた郁がこちらにやってきた。
「ちょっと医務室に行ってきます。って、何笑ってるんですか!?」
「いや、なんでもないよ。行ってらっしゃい。」
 郁は小牧に怪訝な視線を向けたが男の子の方が先決だと踏んだらしくそのまま医務室の方へ歩いて行った。
 郁が駆け寄ったので自分がすることはないと思ったのか先に閲覧室に入っていた手塚も出口付近の小牧を見て怪訝な顔をしたが小牧は手を振ってなんでもない、という素振りをした。

 いやー面白いな〜。小牧がそう思いながら笑いを堪えているとカウンターに今し方入ったばかりの柴崎と目が合った。
 どうやら柴崎もその光景を見ていたらしい。
 堂上、気づいているのは俺だけじゃないみたいだよ。本当に端から見れば丸わかりなのにねぇ。
 小牧はしみじみ思うのだった。



 fin.








             設定とかめちゃくちゃになっててすいません;;
             未だに図書館内がどういう構造になっているのかきちんと理解できてないです。
             かなりでたらめな感じで書いててすいません。(土下座
             設定は内乱あたりかな。笑顔の郁ちゃんを見て頬が緩んでしまう堂上教官wを書きたかっただけです。(ぉぃ;

             2008.05.25