カミツレ図書館

     拍手お礼小話





 故意(よりおまけ編2種)

おまけ1(堂上小牧編)

 小牧は堂上に追いつくとその背中に声をかけた。
「俺たち以外隊員いなかったよ」
「別にそんなことは聞いてない」
「いつまでむくれてるんだよ、堂上」
 小牧が先ほどの郁と堂上のやりとりを思い出したようでまたくくっと笑い出した。
「別にむくれてない」
「ああ、ごめん。俺が聞いちゃって」
 堂上はこれ以上小牧を相手にするのは無駄だと思ったのかそこで黙り込んだ。背中からは完璧に小牧の存在を無視するオーラが出ている。
 そこで小牧は堂上が動揺したもう一つのある事実に思い至った。
 ああ、そうか。
「笠原さんの風呂上がりの姿にももしかして動揺しちゃった?」
 小牧が言った瞬間堂上の歩調が一瞬緩んだ気がした。ああ、図星か。
「良かったね、俺たち以外隊員がいなくて」
「うるさい!」
 怒鳴ると堂上は歩調をさらに速めた。小牧はその堂上の様子に堪えきれなくなり先ほど以上の笑い声を上げるのであった。

***

おまけ2(郁柴崎編)

 二人して部屋に戻ると郁が柴崎に食ってかかった。
「もう、堂上教官が来るの分かってたならなんで教えてくれなかったのよ!柴崎!おかげで思いっきり拳骨くらちゃったじゃない!」
「あら?いいじゃない。肩の痛みの方はもう引いてきたでしょ?」
「今度は頭のほうが痛いわよっ!しかもマッサージしてたのは柴崎も一緒なのになんで私だけが殴られるのよー!!」
「あらこんな美しい私を殴れると思う?あんたと違って私は繊細なのよ」
「うわっ平たく失礼だ!」

 ばかね、言うわけないでしょ。それが目的だったんだから。
 郁が隣でぶつぶつ言うのを柴崎は軽くあしらうのであった。


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故意を更新した際に拍手のお礼小話にしていたものです。
今更再録で遅くて申し訳ないです^^;




 新婚事情 (よりおまけ編2種)

おまけ1

 郁がいないと静かだな…。
「今日は笠原さんとられちゃったんだ」
 味噌汁をすすっていると今まさに心で思い浮かべていた人物のことを話に出されて堂上は見るからに動揺した。
「あはは、分かりやすいよねー堂上も」
 ここのところ昼食時はいつも一緒だったのでなんだか隣にいないのが落ち着かない。
 今日は郁は女子同士で食べると言っていた。どうせたまには付き合えと言われたんだろう。
「何も言ってないだろが!」
 目の前にいる友人に反論しようと試みてみるが相手はまったく痛痒を感じていないようだ。
「いやーいなくて寂しいって顔に出てるからさー」
「アホか!」
 堂上が一喝して味噌汁を啜るのと小牧が笑みを漏らすのはほぼ同時だった。そんな上官たちの会話に加わることもできずに手塚は小牧の隣で黙々と定食の飯を口に運ぶのであった。

***

おまけ2

 事務室に戻り、席に着くと向かいに座っていた小牧が待ってましたとばかりに口を開いた。
「堂上、食堂で惚気てたんだって?」
「は?なんだそれは。惚気なんか言ってないぞ」
「なーに言ってるかな。業務部の子たちの前で堂々と惚気たらしいじゃない?まさか堂上が呼び止められて惚気てくるなんて…」
 そこで堂上は思いたったように顔を歪めた。
「あ、あれは惚気じゃないだろが!ていうか、なんでお前がそんなこと知ってんだ!」
 そこで小牧はくつくつと笑いだした。
「や、俺も女子同士のやりとりはさすがに分からないけど…。なんだ惚気た自覚あるんじゃない」
「…っ!」
 小牧が身悶え始めたところで「ああ、新婚だからな!」堂上は少し赤くなった耳をかばうようにそっぽを向いて開き直った。
 最近開き直るというテクを身に付けた堂上だが、そのテクも小牧に言わせればまだまだ青い。
 もっと平然と開き直ることくらいできるようにならなくちゃ。
 まだまだ遊べるな、と小牧は心中思ってまた笑った。


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新婚事情のおまけ編です。
拍手のお礼にしていた際、たった一文の手塚の様子にたくさんのコメントをいただきましたw
手塚、愛されてて良かったねw(笑




 ささやかなお祝い(よりおまけ編2種)

おまけ編〜手塚君の災難〜

 ドアを開けると見知った一人の部下がいた。部下は律儀に頭を下げる。
「なんだ、お前か。どうした?」
「堂上二正。夜遅くに失礼します。ちょっと相談したいことがあるのですが」
「ああ、いいぞ。入れ」
「失礼します」
 堂上は手塚を部屋に招き入れると適当に座れと言い、冷蔵庫から新しいビールの缶を取り出した。
 堂上が手塚に向き直ると手塚はテーブルの手前で立ち尽くしていた。
「どうした?」
「いえ、やっぱり相談はまた今度にします」
「なんだ、ここまできといて」
 その不審な様子に訝しみながら手塚の視線を辿り、堂上は頭が真っ白になった。その視線はベッドの上に放られたままの抱き枕に集中している。
「おまっ!ちょっと、まて!なんか誤解してるな?とりあえず落ち着け!座れ、手塚!」
「いえ、大丈夫です。充分落ち着いています。堂上二正にそういう趣味があっても俺が二正を尊敬する気持ちは変わりませんから」
 手塚は見ていた物から視線をそらすと踵を返し、素早く靴を履いた。そして焦りながらも何も言えないでいる堂上を振り返る。
「安心して下さい。俺、絶対他に口外したりしませんから」
「待て、手塚!バカ!話を聞け!これは俺のじゃ…」
 バタン。
 堂上の言葉は虚しくその扉の音にかき消された。

 手塚が立ち去った後、堂上は小牧から渡された抱き枕を急いで人目に付かない所へ隠したとか。


***

おまけ編〜堂上さんの災難〜

「あはははははははは」
「笑い事じゃない!」
 堂上は絨毯の上で突っ伏して笑い転げる同僚を一喝した。
「おまっ……だって…っ。あはははははは…・」
「いいかげんしろ!元はと言えば、小牧!お前のせいなんだぞ!」
 堂上は不機嫌にそう言い放ち残りのビールを呷ると缶をぐしゃりと潰した。
「ちょ、それはどう考えてもこじつけだよね?それは俺じゃなくて隠しとかなかった堂上側の責任だろ」
「うるさい!」
 尤もなことを言われ堂上は机の上に頬杖をつくと仏頂面になった。
「それであんなに手塚に避けられてたわけか」
「お陰様でな!」
 皮肉を込めての堂上のその物言いに小牧はまた上戸を復活させる。
 手塚が堂上の部屋を訪れてから、堂上は業務中も不自然に避けられ続けた。やっとのことで事のあらましを説明し手塚に避けられなくなった次第である。
「そんな堂上にはこれをプレゼントするよ」
 小牧は笑いを噛み殺すと持ってきていたタオルのようなものをテーブルに広げた。それはバスタオルのようで、もちろん郁の顔がプリントされている。
 堂上は抱き枕の時と同様にビールを勢いよく吹き出した。
「アホか!どっから作って来やがる、こんなもん!いらんわ!」
「いらないなら捨てればいいじゃない」
 小牧は言って不敵ににやりと笑ってみせた。それが堂上にできないと知っていて言っているのだからたちが悪い。
 そもそも寮生活なのにいったいこんなものはどこで使うんだ。一瞬実用しようとするかのような自分の問いかけにはっとする。
「これで体の隅々まで拭くといいよ」
 小牧は言うとドアに向かいかけて立ち止まり堂上を振り返った。
「ああ、だめか。興奮しちゃって使えないよね。それじゃあ」
 言って自分の発言に爆笑する。身を捩って笑いに堪えているがその笑い声は全然押さえられていない。
 堂上は先ほど空にしたビールの缶を小牧に向かって怒りを込めて投げつけた。


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ささやかなお祝いの番外編です。

SS「ささやかなお祝い」から読んでいただけると内容の理解度も増すかと思われます。
原作に忠実にー!とか思いながら好き勝手書いちゃってすみません^^;
どじょ本人に「尊敬している」と手塚が口走っていることから手塚も動揺していた模様(笑
小牧が立ち去ったあとくらいかな?ここはあえて堂上ではなく手塚の災難(笑)
拙宅ではなかなか手塚の出番がないので少しでも手塚を出させてあげよう!とか考えて
書こうとするといつもこんな損な役回りになってしまいます^^; ごめんね、手塚(笑)

そしてどじょの災難(笑)
油断していた堂上の負けw
遊んでごめんね?wてへw(一応堂上に対して謝ってみたww(オイコラ




           おまけSS編の拍手再録ですー。溜めててすみません。><;
           ちなみに順不同です。なるべく順番通りにしたつもりですが^^;
           すみません;;拍手にした日付を忘れてしまっているので;;
           おまけSSなので先に本編から読んでいただけたら分かりやすいかと思われます。
           

           2009.02.05 再録 加筆訂正有り