カミツレ図書館

     拍手お礼小話





 マッサージ (別冊T後〜Uあたり)

「ねぇねぇ篤さん、横になって?」
「何でだ」
 篤が怪訝な顔をしたので
「いつも自分の足、マッサージしてて思ったんだけど、篤さんにしたらどうかなって。疲れが少しはとれるんじゃないかと思って」
 郁はにっこり微笑むと篤をベットに促した。
 そんな可愛らしい顔をして自分のためだと言われてはされるがままになるしかない。
 篤は促されるままにベットにうつ伏せになった。
「どう?」
「ああ、気持ちいいぞ」
「ほんと?」
 郁が嬉しそうにしている様は見なくても分かった。
 しばらくそうしてもらいきりのよいところで郁に声をかけた。

「ちょっ、なんか篤さん手つきがやらしい…」
 入れ替わって郁のマッサージをしていると郁がそう呟いた。
「ん?そうか?」
 思いきり故意にやっていたがしらっととぼけてみせる。
 始めこそ真面目にやっていたが(始めと言ってもほんの五分くらいだろうか)悪戯心に負けて今じゃ思いきり故意にやっていた。
 そのままスススッと郁の胸元に手を伸ばす。
「ちょ、篤さん!?ぁ、や…」
 郁の体がビクリと震えた。これはやばい。
 ほんの少しの悪戯心がうずいただけであったのに歯止めが効かなくなりそうだ。
 篤は伸ばしていた手を郁の背中に滑らせた。
 こわばっていた郁の肩からあからさまに力が抜けたのが分かった。
 そのまま腰まで伝い壺を押す。先程とは違った感覚にか郁が身をよじらせた。
 そして堪りかねたように笑い声をあげる。
「アハハハハ、く、くすぐったっ…い…」
「お前、意外とくすぐったがりだよな」
 すると郁が途切れ途切れにキブアップ!と叫んだ。 そんな郁の様子に再び悪戯心がうずいた。

「やははははは…も、や…め…て…」
「なんだ、もう降参か」
「こ、こうさん…で…す」
 篤はそこでようやく郁を解放した。
 郁は先程の余韻のせいかうつ伏せになったまま動かない。
「何するんですか!」
 ようやくその余韻から立ち直ったらしい郁が顔を上げた。
 涙混じりに真っ赤な顔をしている。
「私はただ純粋に篤さんの疲れがとれたらって思ってやっただけなのに…」
 郁のその様子に罪悪感は募るが…。
 呟いた郁の頭に優しく手を置き郁の機嫌をとりながらも頭では別のことを考えていた。

 投げっぱなしジャーマンもいいが、これでもいいな。
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さぁ、みなさんで叫びましょう!堂上さんのむっつりー!(笑)




 誤魔化せない (革命後あたり)

「堂上二正、入院中なんだって?」
 郁が柴崎と他の図書館員の女子メンバーに加わって昼食を食堂でとっている時だった。ある一人の女子が堂上の話題を口にした。それにはその作戦に一番に関係していた郁が応える。
「うん。もう少ししたらこっちの病院に移動になると思うよ」
「へぇー。じゃああたし、お見舞いに行こっかな」
 その女子の言葉に郁は固まった。口に運ぼうとしていたカレーライスがぽとりと皿の上に落ちる。
「え…?」
「やぁ〜弱ってるときって落ちやすいって言うじゃない?」
 そう言う意味じゃないだろ、と周りが軽くつっこみを入れたところで郁は
「だめ!」
と声を上げた。
 その声はあまり大きな声ではなかったが、昼食を食べている女子メンバーには十分に聞こえる音量だった。
「え?なんで?」
 女子一人が訊いてくる。郁は自分が口走ってしまったことにあっと気づいて居住まいを正した。
 これは言っていいのか分からないことだ。どうせバレるならとも思ったが思いの外口にするのは恥ずかしい。
「そんな大勢で行ったら迷惑でしょ!」
 結局言い訳のような言葉を並べその提案を諦めさせる方法しか思いつかなかった。女子メンバーは「えー!」などとまだ抗議の声を上げていたが、なんとか誤魔化せたようだ。隣に座っている柴崎に目を向けるとにやにやとこちらを見ている。
 あーバレてるんだと思ってそのにやにや笑いから逃れようと目を反らした。すると耳元で囁かれた。
「今夜、追求させてもらうわよ」
 柴崎は嫌らしい笑みを浮かべた。
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郁が当麻事件解決後に堂上のお見舞いに行ったすぐあとに食堂で繰り広げられた会話。
その夜郁はきっと柴崎に根掘り葉掘り聞き出されたのだと思います。(笑)




 愛しくなる瞬間 (別冊Tあたり)

 唇を離すと郁がこちらに力なく寄りかかってきた。堂上の肩に顔を埋めようとする。
 郁の表情を見ようと再び堂上が郁の頬に触れこちらに向けさせようとすると
「やっ見ないでください!」
 郁から制止が入った。
 その言葉を無視して堂上は郁の俯いた顔を上げさせた。真っ赤になって涙ぐむ郁の目と視線が合う。
「お前真っ赤だぞ」
 堂上がからかうように言う。
「だから見ないでくださいって言ったのに…恥ずかしい…」
 郁が目をそらした。

 まずいな。本当にどうしてお前は。
 以前小牧が郁のことを「たまに抱きしめたくなるほど良い子で可愛い」と言ったがそれは間違っていると思う。
 これは“たまに”どころの話ではない。
 まったくどうしてくれようか。
 とりあえず

「かわいいな」

 堂上は郁の耳元で囁くと再びキスをした。




 暑い季節 (別冊T一章あたり?)

「おい、小牧。ありゃなんとかならないのか」
「なんとかって言われても…」
 小牧は曖昧に苦笑した。隊員たちの視線の先には堂上と郁がいる。
「あいつらのせいで事務室内と外の温度5度くらい違うぞ。あいつら見てると暑くてかなわん!」
「しかも本人達にまったく自覚がないってところが救いようがない」
 今の今まで気づかないふりをして仕事をしていた隊員たちもさすがに限界に達したようだ。二人はそんな隊員たちの様子に気づいていない。
 普段はクーラ―がかかっているのでなんとか気にせずにやっていたが今週に入ってクーラーがなぜか故障した。この暑い時期になんて役立たずな冷房器具なんだ!と悪態はつくものの、直るわけでもない。今週末に直してもらう予定でいた。
 冷房器具のない事務室は蒸し風呂のように暑かった。扇風機が回ってはいるがそれでも温い風が顔に当たるだけでちっとも涼しくならない。そんなこともあってか隊員たちの気は立っていた。
「限界だな…」
 隊員たちはそうつぶやき合う。そこで全員の意志が一種のテレパシーのように合致した。
「おい、堂上!笠原と二人でなんか冷たいもん買ってこい!お前ら見てると暑くてかなわん!」
「は?」
 堂上は一方的な命令に怪訝な顔になる。
「なんですか?いきなり」
「お前らのやったことは罪深いぞ。特に独り身の隊員には堪える!」
 訳の分からない展開に堂上も郁も首を傾げる。
「隊員全員分だぞ!もちろんお前らの自腹でだ!」
「なんなんですか!それは!」
 堂上は救いを求めるように小牧を見るがなにがおかしいのか吹き出す寸前だ。堂上と郁は抗議する間もなしに隊員たちに事務室を追い出された。
 その後大きな袋を抱えた堂上と郁のバカップルぶりにあてられた図書館員が続出したとかなんとか。
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季節無視してすみません。矛盾が生じてますがそこは軽くスルーの方向で!(ォィ




 暑い季節2 (別冊T一章あたり?)

「伝票届けにきましたー ってうわ、あんたどうしたのよ?」
 書庫に来て早々手塚の居た堪れないようにぐったりとした様子に柴崎は声を上げた。
「ああ。あの空気に耐えられなくなってきたんだよ…」
 手塚がちらりと視線を向けた先には堂上と郁がいる。本人達は気づいていないようだが端から見ればハートマークが飛んでいる。
「あー。気持ち分かるわー」
「だろ?ただでさえ暑いのになんか体感温度上がるよな」
 手塚が珍しくワイシャツの袖を捲っている。
 積極的に“あれ”を止めることができないのは尊敬する上官が混じっているからというのと止めても無駄であるということが分かっているからだ。
「しかもまったくの無自覚でやってるバカップルぶりが罪深いよね」
 そう口をはさんできたのは小牧だ。いつの間にかこちらにやってきていたらしい。小牧は言葉とは裏腹にそれほどダメージを受けているようには見えない。涼しげな顔をしている。
 そして止めても無駄というのは小牧がまさに今言ったように無自覚でやっているからだ。あえて小牧が止めないのは小牧もそれを分かっているからであろう。
「まぁ。やっと結ばれたんだし。最初のうちは多めに見よう」
「最初のうちだけならいいんですけどねー」
「それはずっとこのままってことか?」
 手塚がげんなりした顔をしたところで
「賭ける?」
 柴崎がにやりと笑った。
「何をだよ?」
「あの二人がずっとこのままか」
 柴崎はそう続けたあとに「あたし続くにかけるわ」と高らかに宣言する。
「小牧教官は?」
「んー。じゃあ俺も続くで」
 柴崎が手塚を振り返った。その目が何を言いたいのかはもう分かっている。
「俺も続くだな…」
 手塚が便乗するように答えた。
「ちょっと!これじゃ賭けにならないじゃない」
「その賭けにならないようなことを賭けにしたのはお前だろ!」
 手塚のその受け答えに「あら、そうだったわね」と実にあっさりと柴崎は答えると
「まぁいいわ。じゃあ手塚は続かないほうね」とにっこりと微笑んだ。
「そんで確率の低いほうを押しつけるのか」
「賭けに負けた人が飲み代払うのよ〜。」
 柴崎は伝票を手塚に押しつけながら「手塚、ごちそうさま」と最後に付け加えた。有無を言わさないその柴崎の態度に付け入る隙はない。
「手塚、ごちそうさま」
 小牧に肩をぽんと軽く叩かれて「俺決定ですか…」と手塚はがっくりと項垂れた。
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季節無視してすみません。矛盾が生じてますがそこは軽くスルーの方向で!(ォィ
哀れな手塚(笑)頑張れ!手塚君!




           拍手の再録ですー。溜めててすみません。><;
           順不同です。すみません。拍手にした日付を忘れてしまっているので;;
           

           2008.09.28 再録 加筆訂正有り