カミツレ図書館

     Bonds 1



 今日の堂上班は図書館業務を任されていた。班内では些細な会話をしつつも館内業務に勤しんでいた。
「最近あの男の人よく来るね」
 郁が何冊かの本を手に取り順番に入れ替えしていると隣で同じ作業をしている小牧に声をかけられた。何の脈絡もなく唐突に切り出された話だっただけに郁には何のことだか分からず訝しんだ。
 郁のその様子が小牧に伝わったようで小牧からきた次の言葉は説明不足を補う内容だった。
「ほら、最近笠原さんにレファレンスよく頼んでくる人いるじゃない?なんか知り合いっぽいよね?」
 その言葉で郁もなんのことだか理解できた。
「あ〜、要先輩のことですね」
「先輩?」
「はい。本名は千木良要っていうんですけど、私の大学時代の2コ上の先輩なんです。先輩も陸上部で私と同じ短距離の選手だったからその当時はいろいろお世話になりまして」
 てへへと懐かしむように照れるように郁は笑った。
「へぇ〜」
「なんか今仕事でこっちに来てるらしいんですけど、時間があるときに図書館に寄ってくれてるみたいで」
 要は茨城に就職しているのでこっちに来ることはなかなかないのだが、最近はこちらでの仕事が多いらしく、当分の間は泊まり込みで仕事をしているらしい。
 はっきり言ってしまえば転勤なのではないか、と郁は思っていた。
 卒業してからなんとなく疎遠になっていたのだがメールのアドレスなどは変えずにそのままでいたので要から本当に久しぶりにメールが届いた。そこでなんとなしに図書館に勤めていると言うとちょうどこちらにきているのだし、と図書館によく来てくれるようになったという次第である。
 ついつい懐かしくて話し込んじゃったりしてすいません、郁がそう言うと「まぁレファレンスは大切な仕事の内だし図書館利用者が増えてくれるのはいいことだからね。仕事に特に支障をきたしていないんだったら少しくらい構わないよ」と小牧は言ってくれた。
「笠原〜お前にレファレンス頼みたいって人来てるぞ」
 小牧との会話がちょうど終わったところに手塚がタイミングよくやって来た。
「あー分かった。今行くー」
 郁は作業している手を止め小牧に残りを頼むとその場を離れた。

「だってさ、堂上」
 小牧は郁を見送ると自分の後ろで同じように作業している堂上の方を振り返って声をかけた。
「何がだ」
「いんゃ〜知りたいかなーと思って」
 せっせと返却図書の配架作業を繰り返している手を止めずに堂上はそっけなく答えた。小牧のからかいが入ってきたと思い身構える。
「別にそんなこと言ってないだろ」
「え?だって堂上訊きたそうにしてたけど訊きだせないみたいだったから。代わりに訊いてあげたんだけど」
「余計なお世話だ」
 堂上はそう答えたが図星を突かれて仏頂面になった。
「ライバル出現だね〜。大変だね!元王子様」
 完璧にからかいが入ったその口調に堂上は苦虫を噛む。
「ソレやめろ。それに相手は図書館利用者だ」
「えー。堂上だって分かってるくせにー」
「何がだ」
 小牧の言おうとしていることは分かっていたがあえて訊き返した。
「最近笠原さん、隊員の中でも人気上昇中だけど、とりあえずそっちのほうは大丈夫でしょ?でもあの先輩って人は笠原さんの信頼は十分に得てるわけだし?彼女も安心しきってるだろうしね。それにあの人少なからず笠原さんに好意抱いてるみたいだよ?」
 堂上にもそんなことは分かっていた。いくら親しいからといって最近はほとんど図書館に来ているようだったし、レファレンスは必ず郁を指名だ。そこまでくれば誰だって気づかないわけがない。そのことに気づいていないのは当の本人である郁ぐらいだ。
「そんなこと分かってる」
 堂上はぶっきらぼうに返した。その様子に小牧は上戸に入りそうになったが勤務中であると思いとどめ辛うじてそれを押さえた。




to be continued…








           えー、一応20000打感謝記念小説です。
           更新はかなりの不定期になる予定です。一応長編っぽくしたいなと思っているのですが。
           記念小説で完結してないの出すのってどんだけよ!って感じですが。すみません。><;しかもかなり中途半端なところで続いてるし;;
           なんとなくこんな感じに書いていこうとかそういうのは思い浮かんでいるのですが何分私に文章にする才能がないものですから(汗
           一応結構前から書き始めてたものだったりします。^^;
           書いている私にもどんな感じになるのかよめなかったり;;
           本当は仕上がってからにしたかったのですが思いの外20000打に達するのが早かったものですがら(汗
           とりあえず、頑張りますね。(わー不安;;
           いつ更新できるか分からないということだけ言っておきます(ォィ;;
           って全然感謝記念小説になってなくてすいませーん!><;

           2008.08.14